Bloom the World

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WHOによるマラリア報告

WHOによるマラリア報告

 

 

◯ WHOのマラリア被害報告

世界保健機関(WHO)によると、昨年2017年、蚊を媒介とするマラリアの感染者が世界で2億1,900万人に達し、死亡者が43万5,000人と推定されると発表しています。

 

マラリアは長年にわたり、人類を苦しめてきた感染症の一つ。蚊による人間の死者数は、犬(狂犬病が主な原因)や蛇によるものよりもダントツで多いという報告があります。その死者数は年間75万人が蚊(マラリア)と推定している報告もあります。

www.sciencealert.com

 

 

国別にみると、感染者数と死亡者数も、ブルキナファソ、カメルーン、コンゴ民主共和国、ナイジェリアなどアフリカ10ヶ国にインドを合せた11ヶ国で全体の7割を占める結果とでした。東南アジアでは減少傾向にあり、徐々に克服が進んでいるようです。

 

感染者数は2016年以降再び増加傾向で、昨年は200万人の増加となったが、死亡者数は2010年の60万人から大幅に減少している。マラリアをほぼ根絶したと認定された国の数は世界で46ヶ国となり、2010年の37ヶ国から増加しています。

 

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◯ WHOによるマラリア年次報告書

 

2017年世界マラリア報告書(WHO)によると、2016 年にはマラリア流行国及び国際ドナーにより27 億米ドル(推定額)が世界のマラリアの対策・排除へ投資されました。大部分(74%)が WHO のアフリカ地域への投資で、続いて東南アジア地域(7%)、東地中海地域及び米州地域(各 6%)、そして大西洋地域(4%)と推定されています。

 

感染者数の国別ランキング、対策の投資額のデータから分かるように、アフリカが最も深刻な被害を抱えており、アフリカ諸国への対策が重要と位置づけられています。流行国の資金は8億米ドル(31%)を拠出し、残りは主に先進国が拠出しています。アメリカがトップで10億ドル(38%)、次にイギリス、フランス、ドイツ、日本などが続きます。なんだかんだアメリカはいろんな所に資金を投入してるんだなと感じですね。

 

 

◯ マラリア対策

マラリアの対策は主に次の方法で行われています。

 

  1. 蚊帳(殺虫剤処理済)
  2. 迅速診断検査
  3. アルテミシニンをベースにした併用療法(ACT)

 

殺虫剤処理済みの蚊帳は、殺虫剤を含む素材で作られた蚊帳です。住友化学もこの蚊帳を製造しています。この蚊帳も主にサハラ以南のアフリカ地域に配布されており、2014~2016年の3年で5億張(さらにその3年前は3億張)を超える蚊帳が配布されました。マラリア撲滅のための大型キャンペーンが現地政府や各国ドナーが実施しています。

 

迅速診断検査は、途上国のハイレベルな病院だけでなく、地方都市や村の診療所などでも利用できる簡易検査キットです。信頼性もそれなりに高く、末端の診療に利用されています。個人的には、この末端の診療が大切で、まず簡易な診療にアクセスできる環境づくりが重要です。このような簡易キットは、それを実現するものですね。

 

アルテミシニンはよくわかりませんが、抗マラリア活性を有する化学物質のようです。この物質とは関係ないかもしれませんが、マラリア予防薬は悪夢を見るなどの副作用が強く、毎日服用する必要があり、短期の旅行や出張ではハードルが高いと思います。

 

WHOはさらなる蚊帳の普及や治療薬の普及が進み、2030年までの感染者数の大幅減を目指しており、現地政府や医療機関、国際機関の努力が実を結ぶといいですね。