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石油価格の動向と石油生産量・埋蔵量 ~サウジアラビアの石油施設攻撃を受けて~

石油価格の動向と石油生産量・埋蔵量 ~サウジアラビアの石油施設攻撃を受けて~

 

 9月14日にサウジアラビア南部にあるサウジアラコム(国営石油企業)の石油施設が攻撃を受けたという、衝撃の事件がありました。これらのニュースは各種報道機関が報じています。米、サウジ攻撃は「イラン南西部から」 月内供給復旧で原油下落 - ロイター

 

 サウジの石油生産能力が半数以上、影響を受けたとされ、原油価格は一時的に20%ほど上昇しました。しかし、備蓄を取り崩すなど対応や月内に石油生産を復旧させるとサウジ政府から発表があったため、相場は落ち着きを取戻している状況です。以下のグラフはここ1ヶ月の原油先物価格(WTI)です(Yahoo finance USより)。

 

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ここ1ヶ月の原油先物価格(WTI) 9月14日の後に跳ね上がってます


 

◯ 各国の石油生産量(2018年)

  • トップ3はアメリカ、サウジアラビア、ロシア
  • 生産国は大きくOPECと非OPECに分かれる
  • OPEC加盟国は14カ国で中東が多く、他にアフリカや南米の国が加盟

 

◯ 石油生産国ランキングをチェック!

 2018年の生産量トップはアメリカです。産業、教育・研究分野でトップを走るだけでなく、シェールガス革命により、天然ガスや石油といった資源でも生産大国となってしまいました。アメリカ×資源、まさに鬼に金棒とはこのことです。

 

 上位には、OPEC諸国であるサウジアラビア、イラク、イラン、UAE、クウェートなどがランクインし、OPEC以外からはアメリカ、ロシア、カナダ、中国などがランクインしています。資源国うらやましいですね…。

 

トップ10(石油生産量)
  1. アメリカ
  2. サウジアラビア
  3. ロシア
  4. カナダ
  5. イラク
  6. イラン
  7. 中国
  8. UAE
  9. クウェート
  10. ブラジル

 

 下図はトップ20までを含めた各国の石油生産量(千トン/年)です。

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2018年の石油生産量(単位:千トン/年) グローバルノート・BPより


 

◯ 石油の埋蔵量と可採年数ランキングをチェック!

 次に石油の埋蔵量と可採年数(ある年の年末の確認埋蔵量をその年の生産量で除した数値)ランキングを見ていきましょう。但し、可採年数は今後、採掘技術の進歩や新たな油田が発見された場合、さらに年数が増減する可能性もあります。

 

トップ10(石油埋蔵量)
  1. ベネズエラ (3,030億バレル)
  2. サウジアラビア (2,976億バレル)
  3. カナダ (1,678億バレル)
  4. イラン (1,556億バレル)
  5. イラク (1,472億バレル)
  6. ロシア (1,062億バレル)
  7. クウェート (1,015億バレル)
  8. UAE (978億バレル)
  9. アメリカ (612億バレル)
  10. リビア (483億バレル)

 

 トップはベネズエラで、3,000億バレル超えです。2位は3,000億バレル弱でサウジアラビアでした。3位はその半分ほどの1,670億バレルのカナダです。

 それぞれの可採年数は412年、73年、120年で、単純に考えると石油が完全に枯渇するのはまだ先のことになります。

 しかし、有限であることに間違いはないため、徐々に自然エネルギーなど代替エネルギーに切り換えていく必要はありますよね。

 

 下図はチップ20までを含めた各国の埋蔵量(BPによる推定値)と可採年数(図のカッコ内の数字で表記)です。ツリーマップのため、スクエアの大きさが埋蔵量の規模感となっています。

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石油埋蔵量のツリーマップ(カッコ内の数字は可採年数)

 

 

 ◯ 石油生産をめぐる展望

 確認埋蔵量のうち73%はOPEC諸国に存在し、可採年数は100年を超えます。一方、非OPEC諸国は26%で可採年数は25年ほどと言われています。

 

 しかしながら、ノルウェーの調査会社Rystad Energyによると、石油の埋蔵量はアメリカが2,640億バレルで、1位のベネズエラに匹敵する埋蔵量があるという試算もあります。これはアメリカの未開発のシェールオイル油田を含み、新技術で採掘が可能としているためです。

 

 このように今後、ますますアメリカの存在感が増す可能性すらあります。もう一方の大国である中国は、石油の輸入国となっており、埋蔵量が増えるのかは不透明です。日本海など他国の海域に進出してこないよう願うばかりです…。

 

 

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水も石油と同じく人類にとって重要な資源の一つです。日本は水資源に恵まれているため、普段は意識することが少ないかもしれません。図をみると、けっこう北米も水ストレスが高いことがわかります。

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