Bloom the World

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米中の貿易規模と貿易摩擦の経緯

現在の米中貿易規模と今年の貿易摩擦の経緯

 

 

 1.アメリカと中国の貿易額

米国の中間選挙結果は、上院で共和党が多数派を維持し、下院では野党の民主党が多数派となりました。トランプ政権の政策の実現が不透明さを増したと言われていますが、対中政策については、民主党にも賛同する議員が多いようで、中国に対する強硬姿勢は維持される見込みが強いようです。

 

アメリカと中国の貿易額(2017年)は、次のとおりです。

 

  • アメリカ→中国へ輸出額 約1,300億ドル(14兆6,900億円)
  • 中国→アメリカへの輸出額 約5,000億ドル(56兆5,000億円)

 

アメリカの対中貿易赤字は、約3,700億ドル(41兆8,100億円)で、大幅な赤字額となっています。さらに両国はそれぞれが最大の貿易相手国となっており、二大国は互いに最大の貿易国ともなっています。

 

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2.トランプ政権下での貿易政策

トランプ政権の下で、米国は、自国産業保護的な貿易政策を取っており、まず、1974 年通商法232 条(国家安全保障上の制限)に基づき、鉄鋼・アルミ製品に関して、それぞれ25%と10%の追加関税を課すことから始めました。

 

さて、この米中間貿易摩擦ですが、中国側の方が分が悪いようです。

 

輸出規制措置を飲んだ韓国等には適用しないこととしていますが、日本、中国等は、課税対象国となっています。これに対し、中国は、米国からの豚肉、ワイン等に追加関税を課することで対抗しました。さらに、米国は、技術移転、知的財産及びイノベーションに関する中国政府の行為、政策または慣行が、通商法301 条の不公正な措置にあたるとして、広い範囲の商品に追加関税措置を発動しました。

 

・2018年7月の間税発動

通商法301 条の措置については、中国との協議で回避のための合意ができず、米国は、7月6 日から航空宇宙、情報通信技術等の中国からの輸入品818 品目、340 億ドル相当のものに25%の追加関税を開始しました。

 

これに対し、中国側も、直ちに大豆等の農産物、水産物、自動車等545 品目、340 億ドル相当の米国からの輸入品に25%の追加関税を開始しました。

 

・2018年8月の追加間税発動

さらに8 月23 日には、米側は、新たに集積回路、化学品、モーター等279 品目、160 億ドル分を25%追加関税の対象品目に加えました。

これに対して、中国側もすぐに160 億ドル分の輸入品目を加えました。

 

・2018年9月の追加間税発動

さらには、9 月24 日、米側が5,745 品目、2000 億ドル分の中国からの輸入品目に10%の関税を付加することとしました。

中国側もすぐに対抗しており、5,207 品目、600億ドル分の輸入品目に5 から10%の追加関税を賦課することとなり、ついに米国の中国からの輸入金額5,065 億ドルの約半分の品目が、中国側の米国からの輸入金額1,308 億ドルの内の1,100 億ドルもの品目が追加関税の対象となりました。

 

さらに、米側は、来年1 月1日からは、この10%の関税を25%に引き上げることを検討していましたが、先日の米中首脳会談において、90日間の追加間税の棚上げ(休戦)で合意しています。

 

しかしながら、たったの90日間で通商会議を行い、相互の合意が得られるのか不安が残りますね…

 

 

3.米国内の貿易摩擦に対する反応

アメリカと中国との貿易戦争については、アメリカ議会やメディアなど、国内での批判はあまり出ていないようです。最近、米国内では中国の台頭に警戒感がでていると言われています。

特に、中国が南シナ海で、フィリピンとの係争に関する国際司法裁判所の判決を無視して、一方的な措置を取り続けていることなども原因の一つかと推察されます。さらに中国は建国100 年にあたる2050 年、軍事的に米国を上回ることを目標に掲げています。これらはアメリカ国民の間に強い警戒感が生じているはずです。

この他にも米国債を大量に保有している、知的財産権で知らぬふりをしている、アメリカ企業から最新テクノロジーを盗んでいるとの疑惑、などなどアメリカ国民が不信感を募らせる原因には枚挙に暇がありません。

アメリカに唯一対抗することができる地位まで登りつつある中国に対し、強い警戒感があるはずなので、この貿易摩擦は長引く可能性も十分あると思います。