日本・EU間のEPA(経済連携協定)が2月1日に発効
日本・EU間のEPA(経済連携協定)が2月1日に発効
1.日本とEU間の貿易規模は?
日本とEU間の経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)が、2月1日に発効されました。世界のGDP の約28% 、世界貿易の約37%をカバーする巨大な自由貿易圏の協定です。日本と親しい国は、アジア諸国やアメリカだけでなくEU圏とも大きな関係性があり、世界にどのような影響をもたらすのでしょうか!?
世界における日本・EU経済シェア(2017年)は、次のとおりです。
- 人口シェア:日本(1.7%) EU(6.8%)
- 名目GDP:日本(6.1%) EU(21.7%)
- 貿易総額:日本(3.9%) EU(33.2%、但しEU圏内の貿易総額を含む)
※外務省日EU経済関係資料より
ちなみに、日本の対EU輸出金額は8.7兆円、対EU輸入金額は8.8兆円とほぼ釣り合っています。
日本からの主要な輸出品目は、輸送用機器(自動車、自動車部品など)、電気機器、一般機械です。一方、EUからの主要な輸入品目は、化学製品(医薬品、有機化合物)、食料品、輸送用機器(自動車)などです。
2.そもそも経済連携協定(EPA)とは何のこと?
そもそもEPAと聞いても何のことか、はっきりわからずモヤっとしませんか(笑)。ウィキペディアを参照すると次のとおりだそう。要は、貿易だけにとどまらない経済活動のための条約のようです。
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経済連携協定(けいざいれんけいきょうてい、英: Economic Partnership Agreement、EPA)とは、自由貿易協定(FTA)の柱である関税撤廃や非関税障壁の引き下げなどの通商上の障壁の除去だけでなく、締約国間での経済取引の円滑化、経済制度の調和、および、サービス・投資・電子商取引などのさまざまな経済領域での連携強化・協力の促進などをも含めた条約である。
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※ウィキペディアより
FTA(自由貿易協定)は、主に貿易に係る関税撤廃や関税の引き下げに重点が置かれますが、EPA(経済連携協定)は、より幅広く、経済制度の調和、サービス・投資・電子商取引など様々なセクターも含めて協力、連携しようというもの。より密接な関係が構築でき、経済にも良い影響がありそうですね。
3.日本EUのEPA(経済連携協定)の気になる内容は?
経済協定といっても一方が不利な条件をつきつけられてはかなわないので、今回のEPAの内容を少し調べてみました。
- 日本は品目ベースで、約94%の輸入品の関税撤廃
- EU は品目ベースで、約99%の輸入品の関税撤廃
おおお!両者ともほとんどの品目で関税を撤廃するということで、やる気のある良い関係性が伺えます。
わたしたちにより身近な食品(農林水産品)について、日本は82%の関税を撤廃、重要品目でも市場の開放を進めるようです。例をあげると、日本への輸入ではワイン、チーズ、豚肉なども関税の撤廃、引き下げがあります。
一方、日本からEUへの輸出についても、茶、牛肉、水産物といった重点品目を含めて、ほとんどの農林水産品目で関税の即時撤廃という条件のようです。日本は、四季があり、南北に長く気候条件が様々ですが、利用できる土地に限りがあるため、競争力の高い品目は輸出もできるようになり、競争力の低い品目は輸出でまかなえることになるため、基本的には両者にとって良い協定と言えると思います。
4.日EUの関係、そしてアメリカとの貿易・経済協定はどうなる?
このようなことから、日本とEUの関係性はより親密になっていくと考えられます。たとえ政治で多少のごたごたがあったとしても、国民生活や企業の経済活動が親密であれば、両国の関係性が一気に悪化するようなことはありません。
さて、日本と関係性の深いアメリカとの貿易・経済協定はどうなるかが気になりますね。TPPの議論から離脱したアメリカ。他方、日本は環太平洋諸国とTPPの議論を進めています。このような背景から、現在、アメリカの対日輸出の状況は良くないように思われます。このため、より一層対日圧力が増していき、外交力が問われる展開が予想されますね。アメリカは米中の貿易摩擦、北朝鮮問題、中南米諸国(メキシコ、ベネズエラなど)との関係、シリアや中東(イラン、サウジアラビア)への対応、加えてロシアとも長年渡り合っているため、新米国である日本が上手く立ち回るのはそれほど難しくないかもしれません。
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